第2回「科学の美」インスタ写真コンテスト審査結果報告

 たくさんのご応募ありがとうございました。全国から寄せられた応募作品の中から、見事に入賞された方々の作品を、ここに発表させていただきます。

1.コンテスト概要

(1)コンテスト名
第2回「科学の美」インスタグラム写真コンテスト
(2)応募テーマ
「身近な科学の美」
(3)応募期間
2019年8月1日(木)~2019年11月5日(火)

2.審査員(敬称略・五十音順)

伊知地 国夫
日本自然科学写真協会 副会長
広瀬 研吉
科学技術団体連合 副会長団体
(公社)科学技術国際交流センター専務理事
(代理 科学技術団体連合 会長 石田 寛人)
福井 智一
日本科学未来館事業部プログラム企画開発課 科学コミュニケーター
森田 菜絵
株式会社マアルト/科学映像プロデューサー
★最優秀賞 (1作品)
「イチゴ果実内部に運ばれる糖」

撮影者 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 量子ビーム科学部門 放射線生物応用研究部 プロジェクト「RIイメージング研究」 三好 悠太(代表者),他
撮影者からのコメント
「果実への糖の輸送」は果実の甘さや大きさに直接影響する重要な現象です。研究を進めるには、葉の光合成で作られた糖がどのように植物体内を巡り、果実に運ばれるのか明らかにする必要があります。しかし、植物体内の物質の輸送を調べることは非常に難しく、自身が吸った酸素が今体内のどこを巡っているのか調べることを想像して貰えば分かり易いかもしれません。思うように研究が進まない中でRIイメージング技術を知りました。放射性同位体(radioisotope, RI)で標識された二酸化炭素や栄養元素などを植物に与え、RIから放出される放射線を計測し、植物体内の炭素(糖)や栄養元素の動きをビデオカメラのように撮像できる技術です。量子科学技術研究開発機構で研究する機会を得て、X線CT装置やRIイメージング技術を使って、外からの観察では分からなかった果実の内部構造とそこに糖が流入する様子を初めて見た時の感動は今でも忘れません。見ることのできなかった物が見られるようになった感動を、皆様にも味わって頂けたのなら幸いです。

★サイエンス賞 (5作品)
「シモバシラの氷花 」

撮影者 峯村温(登山ガイド・フォトグラファー)
撮影者からのコメント
紅葉が終わった初冬の山に、彩りを添えてくれるのがシモバシラの「氷花」。条件によって形や大きさは様々。この日は気温が高めで条件は良くありませんでしたが、消えかけの美しい一輪に出会うことができました。

「直径1mmのエウロパ」

撮影者 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 中道 勝、金 宰煥、赤津 孔明、中野 優
撮影者からのコメント
ベリリウムとチタンとの合金(Be5Ti)の直径1mmの微小球の外観写真。溶けた粒が冷えて固まる際に、まるで木星の衛星エウロパみたいな表面の結晶になります。ベリリウムやその合金は、コネクタ、スイッチなどの電子部材、スピーカー、医療用X線透過窓材など、電子機器産業、航空宇宙分野、原子力分野などに多用されています。

「オリーブの葉の気孔」

撮影者 浦本 康衣
撮影者からのコメント
オリーブの葉の裏側に木工用ボンドを薄く塗って乾いたところをセロハンテープで剥ぎ取って、顕微鏡で観察しました。
植物の葉の表面には、唇のような形をした気孔があります。オリーブの葉の裏側は、たくさんの花がさいていました。

「イオンビームで突如誕生!ミクロサイズの怪獣?!」

撮影者 日本原子力研究開発機構 原子力基礎工学研究センター 燃料・材料工学ディビジョン 照射材料工学研究グループ 喜多村 茜
撮影者からのコメント
大強度のイオンビームを使った実験中(@JAEA東海タンデム加速器)に突如として現れました。これは非常に薄いセラミックス表面に蒸着したニッケル金属です。膜状だったものが、イオンビーム照射によってこの形状に変わりました。有名な大怪獣のようですが、髪の毛の太さほどのミクロサイズです。

「水中で燃焼し続ける花火」

撮影者 Hayashi Yuki
撮影者からのコメント
細長く、防水性能のあるレンズ「LAOWA 24mm F14 2×」を使い、物質・材料研究機構の特別講演で行われた実験の予行にて撮影。思っていた以上に煙が出たり、セロハンテープの巻き具合で燃焼傾向に露骨な差があったり面白く感じました。動画や写真の先行事例はいくつかありますが、水槽の外からのデータばかりだったので、楽しく直接撮影できました。

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